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そらは、日本ではまだ例のほとんどない、脊髄内に血管が入り込み、成長により、神経を刺激したことで激痛を伴い、まったく動くことができなくなるといった難病であることがわかった。
本当に突然に、娘が障害者としての一生を過ごさなければならないことを言い渡されてしまったまさねえちゃんは、さすがに憔悴しきった様子だった。
そらは、事情はよくわからないままにも、まったく動かない自分の下半身に、戸惑いを隠せず、病院でもひどく荒れていた。
まさねえちゃんは、そんなそらに、いつものように接し、毎日そらの看病に通いつめながらも、なぜかPTAや地域の仕事も今まで以上に精力的にこなしていった。
もしかしたら、そらの今後を考え、障害者となってしまうわが子を、今後も受け入れてもらえるよう、がんばっていたのかもしれない。
ただそれも、このころからのまさねえちゃんは、一日中そういった活動に動き回り、わが家での座談会もほとんどできない状況で、何を考えているのかは回りは理解できないほどに、働きづめになっていた。
そんな日々がしばらく続いたある日、まさねえちゃんがふらっと我が家の玄関前に立っていた。
うっすら涙をためて・・・
あまりにも突然に自分の身に起きてしまった不幸に、どうすることもできない憤りを感じているそらは、雅ねえちゃんに病院であたることしかできないようだったが、毎日、雅ねえちゃんもどうしてやることもできないことに苦しんでいた。
この日は、そらに病院で、二度と来るなといわれ、さすがにつらかったようで、母に愚痴をこぼしに来たようだった。
それでも、明日もまた、そらに会いに行くと母に伝え、自宅に帰った雅ねえちゃんだったが、その日の夜、まさねえちゃんが救急車で運ばれた。
もう、限界はすでに超えていたのかもしれない・・・。
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「形だけなんだから、一番安いのにしたのよ。でも別にわかんないでしょ?」
穴になってしまった左目に、少しアンバランスな義眼をつけたまさねえちゃんが、玄関前でいつものように騒いでいた。
「ほんとはいらないんだけど、やっぱり穴が開いてたら、みんなびっくりするから。
そうそう、これ、ママレモンで洗っていいんだって!」
と、けらけら笑うまさねえちゃんをみて、もう、うるさいと感じることはなく、本当に私は尊敬していた。
そんなポジティブなまさねえちゃんが、唯一悲しそうに話すのが、髪の毛のことだった。がん治療中なのに、髪の毛がまだあることを、いつも自慢していたまさねえちゃんの髪の毛は、このころから、目だって抜け落ちるようになってきていて、所々がはげてしまっていた。
「ソラにもね、学校にこないでって言われたの・・・」
と悲しそうに話すのを聞いて、かつらを勧めたのだが、倹約家のまさねえちゃんは、とても悩んでいるようだった。
次の日、母と、かつらをプレゼントしようと話していたら、玄関口に髪をみじかく刈り上げたまさねえちゃんがげらげら笑いながら駆け込んできて、
「ちょっと聞いて!カイに髪の毛のこと相談したら、なんていったと思う?
お父さんのほうがはげてるから、大丈夫だよだって!だから面倒くさいし、やっぱかつらはしないどくわ」
と楽しげに話した。
でも数日後、かつらをかぶったまさねえちゃんが、うっすら涙を浮かべて玄関口に来て、
「カイが・・・カイが注文してくれてたの」
と本当にうれしそうに話していた。
それからのまさねえちゃんは、今までにまして精力的に、忙しく毎日を過ごすようになった。                                                     
今までの倍以上の人との付き合い、PTA会長としての活動、一度は川に落ちた子供を飛び込んで助け、警察から表彰されたりもしていた。
季節外れにもう一度咲く桜も、あの時以来毎年二度咲き、それをみたまさねえちゃんは、
「あの桜は私の目標。せっかくの命だから、たくさんいろんなことしたいの」
と、口癖のように言っていた。
その桜が、また二度目の開花をしたころ、学校から帰宅中のソラが、突然ストンと座り込み、そのまま立ち上がることができなくなった。

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急遽大学病院での入院となり、すぐに左目の眼球を摘出したまさねえちゃんを、恐る恐る母と見舞いに行った私だったが、病室からまだ遠い通路で、聞きなれた甲高い騒音を聞いて、笑ってしまった。
病室のドアを開けると、いつもと変わらない人間騒音のまさねえちゃんが、看護婦さんと、だんなさんの健太兄ちゃんの悪口で盛り上がっていた。
「あっ、みっちゃんもきてくれたんだ!目、取ったから、痛くなくなってすっきりしたよ!
もっと早く取ってもらっとけばよかったわ。それよりね・・・!」
そのあと1時間以上も健太兄ちゃんの悪口に付き合わされた、母と私は、ぐったりとしながらも、本当にほっとして家路についた。
数日後、また母と病院に行った私は、今度は笑い声ではない、珍しく怒った様子のまさねえちゃんの大声に驚いて、病室に飛び込んだ。
「いやだ!ガーゼ交換は絶対いや!!!
今度交換するときは全身麻酔をしてからにして!」
珍しくわがままを言うまさねえちゃんに驚いたが、摘出していない右目から、たくさんの涙をこぼしながら訴えている様子に、おかしいと感じた。
母もおかしいと思ったようで、ガーゼ交換がそんなに痛いものなのか確認してほしいと、看護婦さんにたずねた。
そんなはずはないのだけれどと、詰め所に確認に行った看護婦さんが、憤慨した様子で、婦長と若い女医と一緒に病室にもどってきた。
「ごめんなさい、間違えて下のガーゼを取ってしまいました。」
若い女医が一言そう言い、うつむいた。
本来は、眼球を摘出した後、穴になってしまった部分にガーゼを貼っているが、交換は、そのガーゼの上に乗せているだけの、薬をしみ込ましたものを替えるだけで、張り付かせているほうを剥がすときは、麻酔を行ってから行うものだそうだ。
経験の浅い女医は、それを知らずに、無理やりそのまま下をはいでしまったらしい。
説明を受けただけで、痛みを考えると鳥肌が立ってしまった私と母は、
「なんてことを・・・」
と抗議しかけたが、その言葉をすぐにさえぎるようにまさねえちゃんが、
「よかったあ!やっぱりそうよね。じゃあ今度からあんなに痛くないのよね」
とうれしそうに看護婦さんに話しかけた。
母も私も、看護婦さんまでもが、女医を責めようとしたのだが、まさねえちゃんは
「もうこれから痛くないならいいのよ」
とまったく責めることもせず、またいつものようにけらけら笑っていた。
それからしばらくして、またいつものまさねえちゃんが戻ってきた。

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お話しをしばらく中断したままにしてしまっていてすみません・・・
実は、私自身、現在、ベーチェッド病という難病と戦っています。
まさ姉ちゃんに比べると、ぜんぜん辛くはない!と思い、まさねえちゃんの想いをつづろうと頑張っていますが、いずれ訪れるであろう、真っ暗な世界は、やっぱり怖いです。
発作的に眼痛がくるたびに少しずつ視力も落ちてきて、今まで片目だけの視力低下だったのが両目ともに見づらくなってきてしまっていて、パソコンの画面を見るのも厳しい状況になってしまっています。
ですが、まさねえちゃんのお話は、絶対最後まで書いていきたいと思っています
これからも、少しずつにはなってしまうとは思いますが、更新していきたいと思いますので、どうかよろしくお願いします。

お話の途中なのに、私事の書き込みですみませんでした・・・

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戻ってきたまさねえちゃんは、今まで以上に元気いっぱいで、相変わらず毎朝の外壁掃除と私の帰宅時間に行われる母との座談会が再開されたが、長くは続かなかった。

若いうちの癌だったことや、最初の摘出が遅れたためか、まさねえちゃんが、2度目の入院をしなければならなくなるのには、1年とかからなかった。

「 ブラジャー使わなくてすむから楽チンでいいわ 」

2度目の手術で、もう片方の乳房も摘出し、35歳の若さで両方の胸のふくらみをなくしたまさねえちゃんは、いつものように明るい笑顔でそう言ってのけた。

2度目の入院からも戻ってきたまさねえちゃんは、やはり何事もなかったようにいつもと変わらない人間騒音のまさねえちゃんのままだった。

節約家のまさねえちゃんは、いくら薦めても

「パットなんてもったいないだけだから」

と、まっ平らになってしまった胸で、本当にブラも使わなくなっていたのだが、しばらくすぎた頃、突然、洋服の上からふくらみが確認できるようになっていた。

いつもの母との座談会中だったまさねえちゃんの胸のふくらみに、つい目がいってしまった私に、

「あ、気づいた?破れたストッキングつめてみたの。
とる前よりおっきいでしょ!」

と、ケラケラ笑うまさねえちゃんに

「急にどうしたの?」

と尋ねると

「そらがね、恥ずかしいって言って、口きいてくれなかったから・・・」

と少し寂しい顔でまさねえちゃんが笑った。

そらの参観日に、いつものまんまで出かけたまさねえちゃんを見た友達に、

「そらちゃん、お父さんがきたよ」

とからかわれたらしい。

まだまだ女である年齢のまさねえちゃんも、本当は気にしていないはずはない。

なんともない顔はしていたが、どれほどか傷ついたかと思うと、今でも心が痛い。

この件以降は、3度にもわたる摘出手術を受け、完全に乳房をなくしたといったことが、現実ではなかったのではと思うほど、まさねえちゃんは明るく賑やかで、精力的に毎日を過ごしていた。

もちろん日々の日課の早朝外壁掃除と母との座談会も健在。

さらにはそらの学校のPTA会長まで引き受け、癌になる前よりも活動的になっていた。

その頃、私の家とまさねえちゃんの家のちょうど真ん中あたりの向かいに一本だけある桜の木に、今年2度目となる季節はずれの桜が咲いた。

秋真っ只中だというのに小さな花を咲かせた桜を、早朝の外壁掃除中に見つけたまさねえちゃんが大騒ぎしていた。

そんなまさねえちゃんを見て、母も私も、そらやかいや健太兄ちゃんも、おそらく本人も、大変な病気を克服した事実は忘れかけていた。

だがしばらくして、まさねえちゃんは、目が見えづらい、おかしいと不調を訴え始めた。

2度目の入院からわずか1年半。

まさねえちゃんの癌は、最終的とも言われる眼球にまで転移していた。

まさねえちゃんは、日本ではまだあまり例がないといわれる、癌での眼球摘出まで強いられたのだ。

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