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急遽大学病院での入院となり、すぐに左目の眼球を摘出したまさねえちゃんを、恐る恐る母と見舞いに行った私だったが、病室からまだ遠い通路で、聞きなれた甲高い騒音を聞いて、笑ってしまった。
病室のドアを開けると、いつもと変わらない人間騒音のまさねえちゃんが、看護婦さんと、だんなさんの健太兄ちゃんの悪口で盛り上がっていた。
「あっ、みっちゃんもきてくれたんだ!目、取ったから、痛くなくなってすっきりしたよ!
もっと早く取ってもらっとけばよかったわ。それよりね・・・!」
そのあと1時間以上も健太兄ちゃんの悪口に付き合わされた、母と私は、ぐったりとしながらも、本当にほっとして家路についた。
数日後、また母と病院に行った私は、今度は笑い声ではない、珍しく怒った様子のまさねえちゃんの大声に驚いて、病室に飛び込んだ。
「いやだ!ガーゼ交換は絶対いや!!!
今度交換するときは全身麻酔をしてからにして!」
珍しくわがままを言うまさねえちゃんに驚いたが、摘出していない右目から、たくさんの涙をこぼしながら訴えている様子に、おかしいと感じた。
母もおかしいと思ったようで、ガーゼ交換がそんなに痛いものなのか確認してほしいと、看護婦さんにたずねた。
そんなはずはないのだけれどと、詰め所に確認に行った看護婦さんが、憤慨した様子で、婦長と若い女医と一緒に病室にもどってきた。
「ごめんなさい、間違えて下のガーゼを取ってしまいました。」
若い女医が一言そう言い、うつむいた。
本来は、眼球を摘出した後、穴になってしまった部分にガーゼを貼っているが、交換は、そのガーゼの上に乗せているだけの、薬をしみ込ましたものを替えるだけで、張り付かせているほうを剥がすときは、麻酔を行ってから行うものだそうだ。
経験の浅い女医は、それを知らずに、無理やりそのまま下をはいでしまったらしい。
説明を受けただけで、痛みを考えると鳥肌が立ってしまった私と母は、
「なんてことを・・・」
と抗議しかけたが、その言葉をすぐにさえぎるようにまさねえちゃんが、
「よかったあ!やっぱりそうよね。じゃあ今度からあんなに痛くないのよね」
とうれしそうに看護婦さんに話しかけた。
母も私も、看護婦さんまでもが、女医を責めようとしたのだが、まさねえちゃんは
「もうこれから痛くないならいいのよ」
とまったく責めることもせず、またいつものようにけらけら笑っていた。
それからしばらくして、またいつものまさねえちゃんが戻ってきた。
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テーマ : ノンフィクション - ジャンル : 小説・文学

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